記事まとめ
テスラは自社の完全自動運転システム「Full Self-Driving(FSD)」が世界中のどこでも安全に運用できることを証明しようとしている。同社は最近、XにオーストラリアとフランスでのFSDデモンストレーション動画を投稿し、世界各地での自動運転技術の適応性を示した。
テスラAIチームが投稿した最初のデモンストレーションでは、メルボルン(オーストラリア)でのFSD Supervised走行が紹介された。約2分間の映像でFSDシステムは市内の混雑した道路を問題なく走行。特筆すべきは、オーストラリア特有の「フック・ターン」と呼ばれる特殊な右折方法をシステムが完璧に実行したことだ。このデモは右ハンドル車(RHD)でFSDが正常に機能することを示す証拠となり、EVコミュニティから好意的な反応を得ている。
もう一つのデモンストレーションは、テスラ欧州・中東公式Xアカウントによって投稿されたフランスでの走行テスト。パリの象徴的建造物「凱旋門」周辺の複雑なロータリーをFSD Supervisedが走行する様子が公開された。フランス最大級のロータリーとして知られるこのエリアは自動運転システムにとって特に難しいチャレンジだが、FSDは他の車のために適切に一時停止し、安全な車間距離を維持しながら見事にナビゲートした。
テスラはこれらのテスト映像に免責事項を付し、「FSD(Supervised)は安全ドライバーが運転するプロトタイプ車両でのエンジニアリングテスト走行です。デモンストレーション目的のみです。FSD(Supervised)はドライバーが常に車両を制御し、道路に注意を払う必要があるハンズオン機能です。将来の有効化と使用は開発と規制当局の承認を条件とします」と明記している。
現在、テスラはFSD Unsupervised(完全無人運転モード)を一般消費者向け車両にはまだ展開していないが、フリーモント工場とギガテキサス工場の生産ラインから各ステージングエリアへの車両輸送にこのシステムを既に活用している。ギガテキサスでは、新しく生産されたモデルYが完全に無人で1.4マイル(約2.25km)走行してステージングロットに到達する。サイバートラックはその過程でボーリングカンパニーのトンネルを通過するという興味深い輸送方法を採用している。
テスラは2025年6月、テキサス州オースティンでFSD Unsupervisedを搭載したモデルYを使用した専用ロボタクシーサービスの開始を計画している。以前の報告によると、テスラは過去数ヶ月間にわたり、オースティン周辺で300台の車両をテストしていることが明らかになっている。また、ロボタクシーサービスの準備の一環として、オースティンの消防署と警察の緊急対応チームと安全テストとトレーニングセッションを実施したと報じられており、実運用に向けた入念な準備が進められていることがうかがえる。
世界各地でのFSDデモンストレーションは、テスラのロボタクシーサービス展開に向けた準備の一環とも見られており、同社が自動運転技術において地域や交通ルールの違いを超えたグローバルな対応能力を示そうとしている姿勢が伺える。各国の規制当局の承認や社会的受容度の向上など課題は残るものの、テスラのFSD技術は着実に進化し、自動運転の未来に向けた重要なステップを踏み出していると言える。
対談:FSDは本当に世界で通用するのか?
志賀直哉:テスラがオーストラリアとフランスで自動運転の実験をしているって?まったく、車が自分で走るなんて信じられんな。昔から言うだろう、「馬は操れども機械は操れず」と。
武者小路実篤:言わねえよ。今回のテスラのFSDテストは非常に意義深いんだ。右ハンドル国のオーストラリアと複雑な交通ルールを持つフランスで成功を収めている。これは自動運転技術がローカライズの壁を越えつつある証拠なんだよ。
志賀直哉:馬鹿な!右ハンドルだろうが左ハンドルだろうが、機械に知能なんてあるわけがない。きっとアメリカ人が中で操縦しているに違いないぞ。
武者小路実篤:志賀君、それは陰謀論だよ。FSDはディープラーニングという人工知能技術を使っていて、膨大な実走行データから学習している。私のモデル3も日本の道路を学習して走行アシストができるくらいだから、進化は目覚ましいんだ。
志賀直哉:深い学習?そんなことより浅くても良いから確実に走れと言いたい。それにオーストラリアのフック・ターンとかいう奇妙な右折、人間でもわからんのに機械にできるわけがない。
武者小路実篤:それがね、志賀君、映像を見るとFSDは見事にフック・ターンを成功させているんだよ。交差点の左側に一時停止して信号が変わるのを待ち、それから右折する。実はこういう明確なルールがある走行パターンは、AIにとっては案外得意なんだ。
志賀直哉:ふん、それならパリの「凱旋門」はどうだ?あそこは地元民ですら避けるという魔の円環だぞ。ジョン・ウィックでも見ただろう、車が十方八方から飛び込んでくる阿鼻叫喚の世界だ。
武者小路実篤:凱旋門のロータリーは世界的に有名な難所だね。でも動画を見ると、FSDは他の車の動きを予測しながら適切なタイミングで車線変更し、ロータリーを脱出している。人間なら神経をすり減らす場面だけど、AIは冷静に対応しているんだ。
志賀直哉:そうは言っても、日本の狭い路地や雪道はどうだ?外国では通用しても、我が国の複雑な道ではきっと通用せんぞ。
武者小路実篤:実は日本でもテストは行われているんだよ。公式発表はまだだけど、東京や京都の複雑な道路環境でもFSDのテストが進んでいるという噂がある。技術的には対応可能だけど、規制環境がネックになっているんだ。日本での展開は時間の問題だと思うよ。
対談:ロボタクシーの未来と人間ドライバーの行方
志賀直哉:聞いたぞ、テスラが6月にテキサスでロボタクシーなるものを始めるそうじゃないか。タクシー運転手が全員失業するぞ、これは大変だ!
武者小路実篤:志賀君、テクノロジーの変化に対する懸念は理解できるけど、急激な転換ではなく段階的な移行になるよ。テスラのオースティンでのロボタクシーサービスも、まずは限定エリアから始まるんだ。
志賀直哉:段階的?いや、一度その扉が開いたら、もう止められんだろう。機械の車が人間の代わりに客を乗せて走り回る…これはまるで河童が水車を回すようなものだ!
武者小路実篤:河童と水車…?どういう比喩だそれは(笑)。でもね、実は人間のドライバーがいないロボタクシーには大きなメリットがあるんだ。24時間稼働可能で、人件費が削減され、結果的に移動コストが下がる。特に過疎地域や夜間の交通弱者にとって福音になり得るよ。
志賀直哉:ふむ、確かに田舎では年寄りがタクシーに乗れずに困っているという話は聞く。だが、じゃあタクシードライバーはどうなるんだ?彼らの生活はどうなる?
武者小路実篤:重要な問題提起だね。職業転換は確かに課題だけど、歴史的に見れば新技術の登場で消える職業もあれば、新たに生まれる職業もある。自動運転車のモニタリングやフリート管理、遠隔操作支援など、新たな雇用も生まれるんだ。
志賀直哉:しかし!自動車が自動で走ると言うなら、それはもはや自動車ではなく「自自動車」ではないか!これは哲学的な問題だぞ。
武者小路実篤:言葉遊びはさておき、テスラのロボタクシー計画は単なる夢物語ではなく、実際に準備が進んでいるんだ。彼らはオースティンで300台もの車両テストを実施し、緊急対応チームとの連携訓練まで行っている。
志賀直哉:300台も!?それはまるで、鴨長明の方丈記にある「火事で焼ける家々」のように、次々と人間のドライバーが消えていくということか…。
武者小路実篤:いやいや、方丈記の災害と技術革新を同列に語るのはさすがに…。それに300台はテスト規模の話で、実際のサービス開始時はもっと少数からスタートするだろうね。大事なのは安全性と利便性のバランスだ。テスラはFSD Unsupervisedを工場内物流ですでに活用しているけど、公道での完全無人運転は段階的に進めていくはずだよ。
志賀直哉:なるほど。ただの夢物語ではないのか…。ボーリングカンパニーのトンネルを通るサイバートラックというのも不思議な話だな。地下を走るとは、まるで現代の土竜のようだ。
武者小路実篤:まあ、視覚的にはそんな感じかもね。イーロン・マスクの描く未来では、地上の交通渋滞を解消するために地下トンネルネットワークを構築し、そこを自動運転車が高速で移動するというビジョンがあるんだ。ギガテキサスでの取り組みはその小さな一歩と言えるかもしれないね。
対談:日本ではいつ自動運転車が当たり前になるか
志賀直哉:アメリカやヨーロッパで自動運転が進んでいるのはわかったが、我らが日本ではどうなのだ?俺の住む奈良の鹿たちは自動運転車を見たら驚いて逃げ出すぞ。
武者小路実篤:志賀君、君は奈良に住んでないだろう…。まあいいや。日本での自動運転普及は少し遅れているね。技術的な問題というより、法規制と社会的受容の問題が大きい。日本では2020年に改正道路交通法でレベル3の自動運転が解禁されたけど、完全自動運転(レベル4・5)の一般道での許可はまだ先だろうね。
志賀直哉:レベル3?レベル4?なんだそれは、RPGのキャラクターランクか?
武者小路実篤:(深いため息)いや、自動運転の技術レベルの国際的な分類だよ。レベル2は運転支援、レベル3は条件付き自動運転、レベル4は高度自動運転、レベル5が完全自動運転という具合にね。テスラのFSD Supervisedはレベル2に相当し、彼らが目指すFSD Unsupervisedがレベル4〜5になる。
志賀直哉:ややこしいな。で、日本の道路事情では何が問題なんだ?俺に言わせれば、日本の道は狭すぎるし、標識は分かりにくいし、そもそも運転マナーが悪い。AIに任せたほうがいいくらいだ。
武者小路実篤:その通り!実は日本の複雑な道路環境こそ、AIの真価が発揮される場かもしれないんだ。ただ、日本特有の課題もある。例えば「軽車両」の扱い。日本では自転車や電動キックボードが車道を走る環境で、これらの予測は海外よりも複雑だ。また、雪国では冬場の白線が見えなくなる問題もある。
志賀直哉:ふむ。日本では、お年寄りの免許返納問題も深刻だしな。自動運転が普及すれば、老人も安心して移動できるようになるのか?
武者小路実篤:それが自動運転の大きな社会的メリットの一つなんだ。日本の高齢化社会において、移動の自由を確保しつつ交通安全を担保する解決策になり得る。特に地方では公共交通機関の衰退もあって、自動運転は社会インフラとして重要性を増してきている。
志賀直哉:しかし、日本人は新しいものに保守的だぞ。みんな自動運転を受け入れるのか?
武者小路実篤:そこが課題だね。日本での普及には社会的受容性の向上が必要だ。実は政府も2025年を目処に限定地域での自動運転モビリティサービスの実現を掲げている。まずは過疎地域や特定エリアでの実証実験から始まり、徐々に都市部へ広がっていくだろう。
志賀直哉:おい、それじゃあもう始まっているじゃないか!2025年って今年だぞ!
武者小路実篤:そうだね。実際、いくつかの地域では実証実験が進んでいるよ。例えば羽田空港や大阪の特区では遠隔型自動運転サービスが試験的に運用されている。ただ、テスラのFSD Unsupervisedレベルの完全自動運転が一般道路で使えるようになるのは、早くても2027年以降だと考えられているね。
志賀直哉:なるほど。結局のところ、日本では機械より人間のほうが信頼されているということか。それもまた良し。伝統と革新のバランスこそ日本の美なり…フム。
武者小路実篤:めずらしく良いことを言うね。そうだ、日本では安全性へのこだわりが強いというのは長所でもある。ただ、テスラが世界各地でFSDの能力を証明していくことで、日本での受容度も高まるだろう。結局は使う人たちの信頼をどれだけ獲得できるかが鍵になる。
志賀直哉:しかし最後に一つ言っておくが、自動運転がどれほど進化しようとも、人間の経験という点では一人前とは言えん!われわれ人間は運転中、「おっ、あそこに美人が歩いとるな」と思えば自然とブレーキを踏む。これぞ人間の真髄だ!AI車にそれができるか!?
武者小路実篤:それ、完全に危険運転じゃん!むしろそういう「人間の真髄」こそが事故の原因になってるんだよ!もう帰るわ!
関連リンク
Tesla posts FSD demonstrations in Australia and France – Teslarati