記事まとめ
Teslaは2025年5月16日、将来のライドヘイリングサービスにおけるライバル企業となるLyftのドライバー向けに、1000ドルの特別プロモーションを開始すると発表した。このプロモーションは、Model S、Model 3、Model X、Model Y、Cybertruckを含むTeslaの全5モデルが対象となる。
プロモーションの条件として、Lyftドライバーは2025年7月13日までに100回の配車を完了する必要がある。また、車両の納車は6月30日までに行われる必要がある。この施策は販売時点での割引ではなく、条件達成後に1000ドルの車両クレジットとして提供される仕組みだ。
興味深いのは、TeslaとLyftは近い将来、自動運転ライドヘイリング市場において競合関係になる点だ。Teslaは来月テキサス州オースティンでロボタクシープラットフォームを立ち上げる予定であり、一方でLyftはMay MobilityやMobileyeといった企業と提携し、来年にも完全自律走行車の配車サービスを開始する計画を発表している。
Teslaはこのプロモーション以外にも、教師、学生、退職者、現役軍人とその配偶者などに向けた1000ドルの割引も実施している。以前は軍人向けのみだった割引を拡大したかたちだ。
アナリストらの見解では、これらの割引は需要喚起というよりも、特定グループへの感謝や認知を示す意味合いが強いとされている。本格的な需要喚起のための割引であれば、以前の旧型Model Y在庫処分時に見られたような5000ドル以上の大幅割引が実施されるはずだとの指摘もある。
一方で、ライドシェアサービスのドライバーをターゲットとするこの戦略は、自社の車両の実用性をアピールする機会にもなっている。特にEVの特性である低維持費や長距離走行での経済性は、ライドシェアドライバーにとって魅力的なセールスポイントとなる。
また、Teslaに関連する他のニュースとしては、ギガファクトリー・ベルリンでFSD Unsupervisedを使用してModel Yを自動で移動させている可能性があることや、ChipotleのJack Hartungが6月1日からTeslaの取締役会に加わることが発表された。加えて、TeslaはオーストラリアのメルボルンやフランスのパリでのFSDデモンストレーション映像も公開し、グローバル展開への準備を進めていることも示している。
こうした一連の動きは、完全自律走行の実現とロボタクシー市場の確立に向けたTeslaの総合的な戦略の一部と見ることができる。EVの普及促進と同時に、次世代モビリティサービス分野での主導権確保を目指すTeslaの取り組みは、今後も注目される。
対談：Teslaのプロモーション戦略の真意
志賀直哉：やあ、武者くん。最近のテスラという会社は面白いね。タクシー運転手さんに割引をするなんて。日本の自動車メーカーではあまり聞かないな。
武者小路実篤：志賀くん、まずはきちんと理解しようか。今回割引を受けるのはタクシー運転手ではなく、Lyftというライドシェアサービスのドライバーだよ。日本で言えばUberみたいなものだね。
志賀直哉：ウーバー？あぁ、あの注文すると人の車が来るやつか。それにしても1000ドルって日本円で約15万円だろう？太っ腹だなぁ。
武者小路実篤：実はそこがポイントなんだ。この額は一見大きく見えるけど、Teslaの車両価格からすると約2%程度の割引にすぎないんだよ。戦略的には感謝の気持ちを示すブランディングが主目的じゃないかな。
志賀直哉：なるほど、いわば「名目上の厚意」というわけか。それにしても、将来競合になる相手に自分の製品を売るというのは変な話だな。漁師が魚にエサを売るようなものじゃないか。
武者小路実篤：志賀くん、その比喩はまったく的外れだよ。正確には「将来ライバルになる漁船メーカーの漁師たちに、今のうちに自社の漁具を使ってもらう」という戦略だ。これによりTeslaの車両性能の良さを体感してもらえる。
志賀直哉：しかし、もっと大きな割引をすれば、より多くの人が買うんじゃないのか？商売というものはそういうものだろう。
武者小路実篤：その考え方は古いよ。Teslaはプレミアムブランドとしての価値を維持しながら販売台数を伸ばす戦略を取ってる。記事にもあるように、本気で在庫を捌きたいときは5000ドル以上の大幅割引をしたことがある。今回はむしろ関係構築が目的なんだ。
志賀直哉：ふむ、なるほど。でも本当に競争相手になるなら、自社の車を売るなんて自分の首を絞めているようなものじゃないのか？
武者小路実篤：それがTeslaの面白いところなんだ。彼らは将来的には「ロボタクシー」という無人の自動運転タクシーサービスを展開する予定だけど、それまでの間は実際のドライバーがいるEVの普及も重要視している。二兎を追う戦略なんだよ。
対談：ロボタクシーの未来とライドシェア業界の変化
志賀直哉：「ロボタクシー」だって？ロボットが運転する自動車なんて、SF小説の世界じゃないか。本当にそんなものが実現するのか？
武者小路実篤：志賀くん、君はいつも時代に取り残されているね。記事にもあるように、Teslaは来月にもテキサス州オースティンでロボタクシーサービスを開始する予定なんだよ。技術的にはすでに実用段階に入っている。
志賀直哉：まさか！人間が乗っていない車が街中を走り回るのか？それは恐ろしい。まるで漁師のいない漁船が海を漂うようなものだ。魚は誰が捕るのだ？
武者小路実篤：また的外れな比喩だ、でも面白いから説明しよう。このロボタクシーには高度な人工知能と各種センサーが搭載されていて、人間よりも安全に運転できるんだ。「魚を捕る」という目的で言えば、むしろ効率的な自動釣り機のようなものさ。
志賀直哉：しかし、それではタクシードライバーの仕事がなくなってしまう。大正時代の人力車夫が自動車の登場で職を失ったように、また新たな失業者を生み出すのではないか？
武者小路実篤：それは確かに社会的な課題だね。でも一方で、交通事故の95%は人的ミスが原因と言われている。ロボタクシーが普及すれば、交通死亡事故を大幅に減らせる可能性がある。命と雇用、どちらを優先するかという難しい問題だ。
志賀直哉：それでは、あのLyftという会社も自分たちの首を絞めるようなものではないのか？彼らの会社はドライバーがいて初めて成り立つのだろう？
武者小路実篤：鋭い指摘だね！実はLyftもUberも、最終的には自動運転技術を導入して人件費を削減する戦略を持っている。記事にもあるように、LyftはMay MobilityとMobileyeと提携して自動運転車の開発を進めているんだ。
志賀直哉：なんだか不思議な話だ。自分たちのドライバーに車を売りながら、そのドライバーがいらなくなる技術も開発している。これはまるで、鶏を育てながら同時に鶏を食べる調理法も研究しているようなものじゃないか！
武者小路実篤：確かに矛盾しているように見える。ただ、自動運転の完全普及にはまだ時間がかかる。その移行期間において、EVに乗るドライバーを増やすことで環境負荷を減らしながら、将来のテクノロジー移行をスムーズにする戦略なんだ。
対談：EVドライバーにとってのTesla車の魅力
志賀直哉：そもそも、ライドシェアのドライバーにとって、電気自動車というのは本当に良いものなのか？ガソリン車に比べて何か利点があるのかね？
武者小路実篤：これは私の実体験も含めて話そう。私が2019年から乗っているModel 3は、走行距離が増えれば増えるほど経済的なメリットが出てくるんだ。ライドシェアドライバーのように1日数百キロ走る人には特に大きな違いがある。
志賀直哉：ほう、具体的にはどのような違いがあるのだ？
武者小路実篤：まず燃料費は電気代なので、ガソリン代の約3分の1で済む。それから維持費も大幅に安い。エンジンオイル交換が不要で、ブレーキパッドの摩耗も少ない。実際、私のモデル3は6年乗っていますが、タイヤ交換以外のメンテナンスはほとんど発生していないよ。
志賀直哉：しかし、充電に時間がかかるのではないか？タクシーやライドシェアは時間が命だろう。木に水やりをするように毎晩じっくり充電できるわけではあるまい。
武者小路実篤：それが最近は変わってきているんだ。Teslaのスーパーチャージャーなら15分程度で数百キロ走れる充電が可能だし、多くのドライバーは休憩時間や食事時間に充電している。それに自宅で夜間に充電できる環境があれば、毎朝満タンの状態で出発できる利点もある。
志賀直哉：それは良いかもしれんな。だが、記事によると、Teslaの車はどれも高価なのだろう？1000ドル引きにしても、一般的なライドシェアドライバーには手が届かないのではないか？
武者小路実篤：初期投資は確かに高いけど、総保有コスト（TCO）で考えると話は変わってくるよ。ガソリン代、メンテナンス費、車の寿命を総合的に考慮すると、実はTeslaはライドシェアドライバーにとって経済的な選択肢になりうるんだ。特にModel 3は比較的手頃な価格帯だからね。
志賀直哉：なるほど。しかし私はまだ疑問に思うのだ。この記事で触れられていたベルリン工場での自動移動というのは、工場内で車が自分で動き回っているということか？まるで鳥居の間を歩き回る神社の狛犬のようなものか？
武者小路実篤：志賀くん、その比喩はどこから出てきたんだ？（爆笑）狛犬は動かないし、鳥居の間を歩き回りもしない！話を戻すと、そうだよ、工場内で完成した車両が自動運転技術を使って自ら移動しているらしい。これはかなり画期的な生産効率化の取り組みだ。
志賀直哉：しかし私は思うのだ。フランスの「アルクドトリオンフ」という場所でテスラが自動運転をしていたというが、あそこは周囲に12本の道が集まる複雑な円形交差点だ。そんな場所で自動車が自分で運転するとは！これはまさに修羅の輪廻のようなものではないか？
武者小路実篤：志賀、お前いい加減にしろよ！修羅の輪廻って何だよ！でも確かにアルク・ド・トリオンフ周辺の円形交差点は世界的に有名な難所だ。そこで安全に自動運転ができるというデモンストレーションは、Teslaの技術力の高さを示す好例だね。これがうまくいけば、将来的にはライドシェアのドライバーが必要なくなる日も近いかもしれない。
関連リンク
Tesla offers interesting promo to future ride-hailing rival’s drivers
